FCC/DOC(自己適合宣言)制度

FCCとは

FCC(アメリカ連邦通信委員会)は、通信法(The Communication Acts)に基づき、電気・電子製品から発生する不要な電磁波を規制する独立した政府機関です。FCCの主要な機能は、無線を発する各種装置に対する承認業務および不要な電磁波障害に対する規制と承認業務を遂行することです。

認証の必要性

FCCは民間部門の通信を管轄しており、電波資源の効率的な利用管理方策の一環として、主要電気・電子製品から発生する不要な電波が通信の妨害とならないよう規制を行っています。

この規制は連邦通信法に基づいて実施され、違反した場合には法により以下の制裁が科されます:

  • 製品の輸入禁止
  • 販売禁止
  • 展示禁止
  • 広告などの流通全般にわたる強力な制限

対象製品に対するFCC認証を取得できない場合、アメリカ国内での製品の上陸が不可能となるため、FCC認証の取得は必須となります。

関連規定および対象品目

FCC認証が必要な関連規定は、CFR(Code of Federal Register:連邦規則集)Title 47(Telecommunications:電気通信)に規定されています。

表1 <関連規定>

区分内容
Part 2Frequency Allocations and Radio Treat Matters; General Rules and Regulations
周波数割当及び無線取扱事項; 一般規則及び規制
Part 15Radio Frequency Devices
無線周波数機器
Part 18Industrial Scientific and Medical equipment
工業・科学・医療用機器
Part 68Connection of Terminal Equipment to the Telephone Network
電話網への端末機器の接続
Part 95Personal Radio Services
個人用無線サービス

FCC認証の主要対象品目は無線電話、産業/科学/医療用高周波を使用する機器類、送信機類、受信機類、PCおよび周辺機器類、 放送受信機類、PSTNに連結される装備(電話機、ファックス、モデム類)他多数。

認証制度の種類

FCC認証は、すべての対象機器に対して一律の認証方式を適用するのではなく、製品別に定められた認証手続きを行います。

  1. 検証/証明(Verification)
    製造者または輸入者が、公認試験所で適合性試験を実施した結果を保管・管理する認証手続きです。対象製品には以下が含まれます:
    • 事務用コンピュータ類
    • TVおよびFM受信機
  2. 適合認証(Certification)
    製造者が公認試験所の試験報告書と申請書をFCCに提出する認証手続きです。対象製品には以下が含まれます:
    • コンピュータおよび周辺機器
    • VCR
    • 無線調整玩具 ※これらの製品には販売時に関連文書およびFCC IDを製品ラベルに表示する必要があります。
  3. 適合登録(Registration)
    適合認証手続き(Certification)に加え、FCCに試験成績書および申請書を提出し、公衆交換電話網(PSTN)に接続して使用する製品に対する認証手続きです。主な対象製品:
    • ファクシミリ
    • モデム
    • 電話機
  4. 形式認証(Type Approval)
    FCC試験所で直接試験を受ける認証手続きです。主な対象製品:
    • ISM機器

認証手続き

申請者がFCC Grantee Codeを申請 FCC Grantee Codeを付与 申請者が試験所に試験申請 申請者に試験成績を発給 申請者がFCCに認証申請 認証書の発給

DOC(自己適合宣言)制度

該当製品に対しFCCで定めた技術基準によりテストし合格した場合、製造者はFCCの別途承認なく自己適合宣言のみで認証マークを付けた後に出荷できる方式です。

DOC実施の要件と手順

  1. 製造者はFCC DOCのための公認試験所NVLAP(National Voluntary Laboratory Accreditation Program)で規格適合試験を実施
  2. アメリカ国内の代理人(Third Party)を通じて自己適合宣言を行う

従来の認証方式との違い

従来の適合認証(Certification)とは異なり、DOC手続きでは製品上にFCCの技術基準に適合することを示す永久的な表示が必要です。

FCCの権限と要求事項

  • FCCはThird Partyに対し、以下の事項を要請できます:
    • 製品の調査結果
    • 欠陥に対する修正・補完事項
    • 製品の量産、流通、使用に関する措置事項
  • 適合性確認のため、随時製品のサンプルを要求することができます

提出期限

  • 試験データ:14日以内
  • サンプル:60日以内

※関連資料を提出できない場合は、罰金や行政的な制裁を受ける可能性があります。

製品試験(NVLAP) 技術文書およびDOCの発行 FCCマークの貼付けおよび生産の開示 事後管理および記録維持

事後管理

アメリカ国内に輸入されたすべての製品に対する事後管理として、市場で回収した製品をテストするSampling and Measurement Branch(サンプリング・測定部門)が設置されています。

近年、事後管理は年々強化される傾向にあり、事後管理で不適合が見つかった場合は以下の措置が取られます:

  • 製品の承認取り消し
  • 市販中止
  • 製品の回収
  • 罰金の支払い
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